torahouのブログ

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映画『判決、ふたつの希望』

昨日の午後に鑑賞。大阪では一箇所でしか上映していないし話題作ではあるけど月曜日の真っ昼間からかなりの混雑。世の中暇人が多いな!

【感想・メモ】

まさにいま作るべき、観るべき作品という感じ。まあ俺はレバノンや中東に行ったことがないからまったく断言はできないけれど、非常にリアリティがある(ように感じさせれた)作品。

モブ的に登場していた反パレスチナの右翼の人々もリベラル派の人々も実際にいそう。この作品はフィクションだけれども、工事の作業員に水をかけたというだけで国が二分化するような暴動に発展したり大統領が仲裁に乗りだりしたりということが実際に起こりえそうと感じられた。本人達はそこまでおおごとにしたい気持ちはなかったのに、周囲の状況でどんどん事が大きくなっていくのはゾッとする。宗教や人種の問題が絡むと歯止めが効かなくなってしまうんだろうなー。

レバノン人右翼のトニーとパレスチナ人のヤーセルやその周囲、裁判を丁寧に描くことでリアリティを持たせている超社会派作品なのに、物語としても面白い。一緒に観た『英国総督 最後の家』もそうだけれども映画でなにかを訴えたいのであれば、メッセージ性を失わせない範囲で作品として面白くするのが大事だし、そこが監督や脚本の腕の見せどころだと思う。例えば『デトロイト』は黒人差別を丁寧に描いた作品で考えさせられる部分もあったけど、物語として面白かったかというと微妙。そういう作品だと人に勧めたいなーとか、もう一回観たいなーとは思わないので社会的メッセージもなかなか伝わりきらない、と思う。